着眼点

いかなる大樹もそれに見合った根がなくしては成り立ちません。

そして私の視点での「根」、というのは、
例えば楽曲を配信するためのシステムだったり、
お客様にアーティストの存在を知っていただくための
ブログやホームページであったり、
要はアーティストが活動するためのインフラということになるでしょうか。
ネミューというレーベルもそのひとつですね。

更には根というのは物理的に木を支えるだけのものではなく、
水や養分の導管として中からも木を支えるためのものでもあり、
そうして私のもとには常に膨大な量の情報が流れ込み、
この中から誰かの役に立ちそうな情報が見つかっていたりもします。

ところで人が行動を起こす上では、
その目的に対する情熱が強いほど、
そこにたどり着くまでの時間は短くなります。
目指すものによっては相当に濃い行動なくしては、
生きているうちにたどり着けないものもあるでしょう。

本気でメジャーを目指している人たちと話しをすると、
命を賭けて音楽に取り組んでいると言い切れる人ばかりで、
そこには間違いなく人生の全てを賭けた執念があります。

ですがネミューの目的は
メジャーアーティストを輩出することでも、
チャートで上位を目指すことでもありません。

ネミューのオーディションにはルックスや歌唱力、
そして音楽に対する意識と情熱が高い人たちも
たくさん応募してきてくださいます。

そんな人たちの中から私がオーディションで選んだアーティストたちは、
例えメジャーが求めているものを持っていなかったとしても、
ネミューが一番に必要としているものを持っているアーティストばかりです。

もちろん永森まことも、そうして選んだアーティストに他なりません。
彼女の様々な才能が、いくつもの分野のプロフェッショナルの間で
奪い合いになっているのを知ったのは、本人が渡米した後のことでした。

そして私が評価しているのは、
危険地帯へと向かう「勇気」でも、類稀なることを成し遂げた実績でもなく、
リスクを背負ってでも誰かを助けたいと思う、彼女の大きな「愛」です。

「優しさ」と「献身」の違いは、
誰かを助けることによって自らが失う代償の大きさだと、私は考えています。

ネミューには温かい気持ちを届けたいという目的があります。
そのためならば行動や表現の違いは些細(ささい)なことでしかありません。

もし必要なものがあるとするならば、それは、
自分の利より先に、まず人の利を追求すること、そして、
人に喜んでもらうために何ができるのかを
自分の頭で考え、創意工夫すること。

(明日)のライブをいつも観て下さっている方であれば、
きっとすぐにわかってもらえるのではないでしょうか。